児童心理2013年12月号が発刊になりました。
今回は,私も「話を聞いてもらえない子──スクールカーストの中で」を書かせていただきました。ぜひご一読ください。
いま学校では、さまざまな言語活動への取り組みがおこなわれ、聞く力の育成も重要課題の一つです。
人の話が聞ける子を学校や家庭でどう育てるか、どんな学級で聞く力は育つのか、考えます。
『児童心理』12月号 目次 特集 「聞く力」を育てる
http://www.kanekoshobo.co.jp/np/jidoushinri.html
「聞く力」とは 平木典子
人の話を聞けない子の心理 吉田圭吾
短気になった日本社会
──人の話に耳を傾けない、理解しようとしない 越智康詞
心と触れ合う傾聴
──ロジャーズ派カウンセリングからの示唆 中田行重
人の話を聞く権利・自分の話を聞いてもらう権利
──アメリカ・ルーズベルト小学校の児童規則から 深谷和子
子どもの心を聴く先生 金山健一
「聴き合い」が育つ学級 一柳智紀
「聞いてもらえる学級」の中で育つ話す力
──構成的グループエンカウンターを通して 明里康弘
◆話が聞ける子を育てる学級・学校
聴く力を育てる授業 鈴木教夫
「聴き合い活動」のすすめ 尾高正浩
一人ひとりの意見を尊重する学級会 安部恭子
聞く力が育つサークルタイム 森嵜章代
話を聞いてもらえない子──スクールカーストの中で 八巻寛治
◆こんな子にどうかかわるか
自分ばかり話してしまう子 森亜矢子
話を聞き流している子 鈴木律惠
話の途中でさえぎる子 水橋美奈子
人の意見を受け入れない子 三谷聖也
親の聞く力を磨く──子どもの「聞いて、聞いて」にこたえる 大竹直子
雑談に生きる「聞く力」 春日武彦
連載
学校における法にかかわる問題への対応──法と臨床の協働〈3〉
子どもの暴力問題 廣井亮一・中川利彦
学校外の子どもの今〈学習塾のなかの子どもたち〉④
居場所・交流の場としての塾 小宮山博仁
窓 有村久春
子ども ぐらふぃてぃ 遠藤恵利子
今月の本棚
『子ども問題事典』/評者・明石要一 『保幼小連携』/評者・石井順治
編集後記 諸富祥彦
特集のポイント
トップへ内容説明目次特集のポイント
本号のテーマは「聞く力」を育てる、である。今、学校現場ではさまざまな言語活動への取り組みがおこなわれている。「聞く力」の育成も重要課題の一つである。「聴く力」が育った学級には安心感があり、気の弱い子でも発言できるようになる。教師は、どのようにすれば子どもたちの「聞く力」を育てることができるのか多様な視点から論じてもらった。
冒頭では、そもそも「聞く力」とはどのようなものであるのか、その本質について論じてもらった。「聞く力」とはどのようなものであるのか、それを踏まえた上でなければ的の外れた実践になりかねないからである。
次に論じてもらったのは、「人の話を聞けない子には、どのような心理が働いているのか」についてである。一口に「人の話を聞けない」と言っても、「話を聞いていない」という現象面では同じでも、その内面に焦点を当てると、「聞くことを意図的に拒否している子」もいれば、「聞こうとしても、注意が逸れてしまい聞くことができない子」もいるであろう。また、「人にあまり関心がないから聞かない子」もいれば、相手、特に親や教師への拒否感から「あえて聞かない子」 もいるであろう。こうした子どもの心理を理解することなしに、有効な対応法は見えてこないだろう。
「話を聞かない子」がいれば、当然「話を聞いてもらえない子」がいる。そうした現象は、スクールカーストと呼ばれる子ども間に存在する階層性とそれゆえの「仲間外し」の圧力がかかわっているはずであろう。スクールカーストとのかかわりで「聞いてもらえない子」の存在にも焦点を当てた。
また、「聞く力」が弱まっているのは、何も子どもばかりではない。大人も含んだ日本全体が効率性重視の風潮の中で短気になり、「話を聞かない世の中」を作ってしまっているのではないか。「聞く力」というテーマの背景には、このような日本社会全体の変化が影響していることを見て取っていく必要性があろう。
なお、本号の編集作業の中でしばしば議論となったのが「聞く」ことと「聴く」ことは
どのように違うのか、という点であった。そこで、カウンセリングにおける傾聴について現在ロジャーズ派を代表する心理臨床家にご執筆いただいた。
本号では、さまざまな学校現場の実践から「話が聞ける子」をどう育てるか、特に学級づくりの視点から論じてもらった。読者の実践の一助となれば幸いである。
《やまかん・こんなことやってます》
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